食のコラムVOL.31「桜」のつく食べ物のおはなし

桜の食べ物代表格、桜餅

桜といえば春の和スイーツとして人気の桜餅。年中食べられますが、やはり雪が解けて麗らかな光の頃に、桜の葉の香りに春を感じながらいただく桜餅は格別!と感じるのは私だけではないはず。桜餅には餡を生地と葉をクレープのように巻く関東の長命寺桜餅と、道明寺粉を蒸して餡を包んだものに葉を巻く関西の道明寺桜餅の2種類があります。江戸時代、長命寺の門番が桜の葉を塩漬けし、それをお餅に巻いて売り出したことが始まり。その後大阪でもともとあった、もち米を乾燥させ粗挽きした道明寺粉で作った保存食が長命寺桜餅にならい桜餅として生み出されたそうです。古くから大阪と交易があった北海道はこのタイプの桜餅が伝わったとされています。

長明寺桜餅
道明寺桜餅

日本人は桜が好き

そもそも日本人は桜が大好き!古くは奈良時代の万葉集、平安時代の古今和歌集でもそれは多くの桜の歌が読まれています。鎌倉時代の今昔物語の中でも登場人物が桜の満開に喜び、散る姿にはらはらと涙し…それほどに桜は人々の暮らしに密接にあり、愛され、心潤すものであったことが伺われます。北海道に暮らす私たちにとっても長い冬の時期が終わりようやく迎える春が楽しみなのと同じくらい、ピンク色に可愛らしく花開く桜は愛おしく感じられますね。

札幌で一番に開花するシャンテ前の桜

桜のつく食べ物、いろいろ

桜のつく食べ物は他にも春にとれる桜鯛、桜エビ、北海道では桜鱒が有名。また桜の花の塩漬けを使った桜湯はお祝いの席に、また春のハレの日などに食べられる桜ご飯もあります。このように季節と自然を五感で感じ、食べ物にもその名をつけて楽しむのは日本人ならではという気がします。みなさんもぜひ桜のつく食べ物で春を楽しんでみませんか?       おはなし 一瀬美絵

桜の塩漬けと桜湯