食のコラム「北海道の魚ニシン」

北海道の春告魚

春ですね。北海道の春の魚と言えばニシン。「ソーラン節」の歌詞の出だしにもある程、北海道には馴染みの深いお魚ですね。このニシン、春告魚と呼ばれるのをご存知ですか?毎年2月になると日本海沿岸にはニシンの群来(くき)が訪れます。産卵放精の時期となるため、海面がミルク色になります。私も今年見に行きましたが海の青とあいまって織りなした水色がとても美しかったです。

かつては北海道の一大産業でもあったニシン漁。明治時代には北前船に載せて鮭、昆布とともに関西に運ばれ、代わりに米などの食料や芸術文化等、交易が盛んに行われたことにより北海道の文化も栄えていきました。その頃の作業場兼宿舎でもあった鰊御殿はあまりにも有名です。

小樽ニシン御殿

実は栄養価の優等生⁉

このように北海道と深い歴史のあるニシン。一時期は様々な要因から不漁に陥り幻の魚とまでなったものの、近年は回復し豊漁が続いています。しかし脂がキツイ、小骨が多い等で、他の魚のように馴染まれず、ほとんどが飼料の原料として安値で取引されている現状があります。こうなると漁師さんにはとんだ痛手になってしまいますね。

ですがニシンには肉食に偏り気味の日本人にとって嬉しい効能がいっぱい!たんぱく質、カルシウムはもちろん、特に嫌われ者の脂には不飽和脂肪酸であるオレイン酸やイコセン酸が多く含まれ、悪玉コレステロールや動脈硬化、高血圧の予防が期待できます。またEPAやDHAといった栄養素は血液サラサラ成分や記憶力向上の他にアレルギー抑制の効果も。美味しく食べて春の味覚、ニシンを応援しましょう!

生ニシン

知ればくらしがもっと豊かになる「食と文化のおいしい話」vol.5、今月のテーマ「北海道の魚ニシン」ノンルージュ2021年4月号に掲載