食のコラムVOL.19「お餅のおはなし」

名前の由来

お正月といえばお餅。お餅って可愛らしい名前だと思いませんか?この呼び名は諸説ありますが、満月の別名、望月(もちづき)から来ているものとされ、自然とともに生きてきた日本人は、祭事のたびに崇拝する太陽や月に見立てお供えしたというものが有力のようです。自然に対する畏敬の念をもった日本人らしい説ですね。

お祝い事とお餅

 1年には多くの節目があり、そのたびお餅が登場します。特にお正月は鏡餅にはじまり、お雑煮に焼き餅に…と三が日の間は白米よりむしろお餅、というくらい食べますね。あるいは桃の節句は菱餅や桜餅、端午の節句は柏餅、秋になると十五夜の時に飾る月見団子、そしてお祝い事に食べるお赤飯。ここに共通するのは「もち米」です。

お餅の歴史は古く、縄文時代から食べられていたそう。この頃から日本では稲作が始まっており、お餅になりやすい性質のお米を食べていたそうです。お餅が縁起物とされ、節目ごとに食べられるようになったのは弥生時代以降。稲には「稲霊」が宿り、お米には特別な力があるとされる「稲作信仰」がありました。さらにお米を固めたお餅にはより強い力があるとされ、神聖な食べ物として“ハレの日”に食べるようになったとか。やはり日本人の文化の中には古来からお米、そしてお餅が深く根付いているということですね。

1月11日は鏡開き

 1月には元旦以外にも、1月11日に鏡餅を割って食べる「鏡開き」があります。歳神様が宿っているとされる鏡餅を食べることで、神様から霊力をいただき、1年の無病息災を願うという意味があります。お汁粉にしてもよし、鍋料理に入れるのもよし、美味しくいただいて1年間元気に過ごしたいですね。