食のコラムVOL.10「春の養生食材」のおはなし

春は体調を崩しやすい季節

 季節の変わり目は何かと体調が崩れがち。一般的には気温差や環境の変化等の自律神経の乱れによるものとも考えられていますが、特に冬から春にかけては漢方でいうところの「陰」の時季が終わり、「陽」の時季に向かっていく春は、内臓が活発に動き始めることで冬に溜まった不要なものを外に出そうと働きます。このように季節が変わるとともに、体の中もそれに合わせるように変化しようとしていくのです。

「肝」の役割

体の中の老廃物を解毒し排出するのが肝臓。つまり、春になり冬に溜まった老廃物をそこで一気に外に出そうと頑張り負担がかかるので、いわゆる「肝」が疲労し、体が疲れやすくなり、また肝機能が悪くなることで血液の循環も滞るため、体調だけでなく情緒不安定になったり、不眠が続いたりと気持ちにも変化を及ぼすのだとか。さらには気温が上がっていくことで血液も体の上部に上がっていこうとするところに「血」のめぐりが悪いと頭痛やめまい、また花粉症の症状など上半身の不調も引き起こしやすくなるといわれています。

「肝」を整え体の中からメンテナンス

 肝機能を整えるために摂るとよい食材は苦味や酸味のあるものとされています。昔からうどやふき、タラの芽、筍などの山菜は体の中のデトックスに効果があるとされていますが、酸味のある柑橘類やいちご、梅を摂るのも良いようです。また年中出回っているイメージのあるキャベツも実は旬は春。ビタミンUが豊富で体の余分な熱を取り除き肝機能を高め、胃腸の働きを促進します。魚介類では鯛やアサリ、ハマグリがお勧め。みなさんも身近にある春の養生食材で「肝」を整え、心も体も快適な春を過ごしましょう! おはなし:一瀬美絵

北海道のあさりは、一般のあさりより大きく、模様がなく粗い線が入っている。北海あさり、横綱あさりと言われる。
本州のあさりは、殻が薄く青や白などの色といろいろな模様がある。