食のコラムVOL.20「乾物のおはなし」

北海道の冬の保存食

寒い北海道では冬は野菜が採れないため、昔の人は秋になると冬に備え、野菜を天日に干して漬物や乾物に、魚を干物にして食べていたと言われています。例えば、留萌発祥の郷土食であり、いまや北海道の伝統食にもなっているニシン漬け。大根やキャベツ、人参に身欠きニシン、塩を入れ麹で発酵させた漬物ですが、この身欠きニシンも、生のままでは長期保存ができないニシンの頭と内臓を取り乾燥させて作られた干物。魚と野菜、干物と漬物、しかもニシン漬けは発酵食品でもあり健康にもいい、まさにハイブリッドで魅力的な保存食ですね!

スタッフ手作りのニシン漬け

日本の伝統食材、乾物

日本の伝統食材として今日も食べ続けられている乾物。先人の知恵により、古くは縄文、弥生時代から食材を乾燥させ、水で戻して食べられていたといわれています。乾物は長期常温保存ができる優れもの。身近なものでは普段からよく使われる煮干しや昆布、鰹節があげられるのではないでしょうか。他にもひじきに切干大根、高野豆腐、干しシイタケ等々、種類も豊富。また低カロリーで食物繊維が多く、天日干しすることで旨味や栄養価が凝縮されます。また軽量で場所を取らないこと、水に戻すだけですぐ料理に使えることも魅力ですね。

非常食にもなる乾物

近年、度重なる台風や地震が増え、改めて日本は自然災害が多い国であることを実感する今日この頃。いまでは缶詰やレトルト食品など「フェーズフリー食品」とも呼ばれ、災害時の非常食にもなる便利な備蓄食材が増えましたが栄養の偏りも心配。そんな時こそ乾物は足りない栄養素を補うのに最適な食材です。日常の食卓にも取り入れながら、いざという時の備えとしても上手に利用したいですね。

女性を応援するフリーマガジン「ノンルージュ」2024年2月号に掲載
「切り干し大根のサラダ」レシピ