VOL.37「鮭のおはなし」

道民には身近な魚、鮭

日々の食卓でよく食べられる魚、鮭。シンプルな焼鮭からフライ、ムニエルに、道民ならちゃんちゃん焼き、そしておにぎりの具材とメニューもいろいろ、みなさんはどのように食べるのが好きですか?秋になると産卵のために命がけで生まれた川に遡上し、卵を産むと力尽きて死んでしまう…壮大な背景をもつ鮭。アイヌの人々が暮らしていた時代では、鮭は主食であり、また神の国から来た食べ物として崇められたほど貴重で尊い存在だったと聞きます。それだけアイヌと鮭の歴史には深いものがあり、私たちの食に受け継がれているのだと思うと感慨深くなりますね。

呼び方はサケ?シャケ?

話しは変わって、鮭の呼び方にはサケ、シャケがありますが、統計によると6割がシャケ、4割がサケで、シャケと呼ぶ人が若干多いようです。なぜシャケと呼ばれるようになったかは諸説ありますが、調べてみるとその中でも有力なのは、アイヌ語の「シャケンべ」に由来し、江戸時代にアイヌ民族と江戸の人々との間で交易が始まった時、江戸の中で鮭を「シャケ」と呼ぶようになった、という説だとか。鮭はアイヌの時代から伝わった食文化という、前段の歴史から鑑みても納得の説ですね。

鮭の効能

「サーモンピンク」という呼ばれる鮭の色ですが、本来鮭は白身魚に分類されます。餌になるエビやカニなどの甲殻類の色素、アスタキサンチンによって身が赤くなります。この色素は抗酸化作用があり、アンチエイジングに効果あり。また多くの魚に含まれるDHAやEPAは中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす効果、他にもビタミンB群が多く、皮膚や粘膜の健康を保ってくれます。これから鮭の美味しい季節。様々な食べ方で秋を愉しみたいですね。 おはなし 一瀬美絵